マンゴジェリーとランペルティーザがその場所に着いたときには、既に彼らはそこにいて、二人を待っているだけだった。

 ジェリーロラムは、ただ目礼し、今来た道をそのまま引き返していった。

 アスパラガスは完全に酒気が抜け切った表情をし、さして興味もなさそうに彼らを眺めていた。

 ディミータが苛立たしげに舌打ちをする。

 すると、すぐにボンバルリーナがそれを咎めた。

 ラム・タム・タガーは土剥き出しの地面に木枝で図面を書き、マンカストラップと何事かを相談している。

 ミストフェリーズはただ黙ってその様子を黄金の双眸でじっと見詰めていた。


 ジェニエニドッツは呼び鈴も鳴らさずに家主のいない豪邸へと入っていき、慣れた手つきで目当てのものを探していた。

 隣ではタントミールが興味深そうに古びた写真を眺めている。

 ランパスキャットは黙々とジェミマを追う。ただし、いつの間にか彼女の通った道とはまったく違うところを歩いていると、本人は気付いていない。


 ジェミマはふと足を止め、正面を見据えた。
 不快気に眉根を寄せる。
 「……私は…………私も、堕ちるの?」
 「――」
 「ねぇ」
 「――」
 「答えてよ、グリザベラ」
 彼女は何も答えてはくれない。


 いつの間にか、日が傾きはじめていた。
 そして、夕暮れの空気に微かに雨の匂いも混じり始める。


 「シラバブ、中にお入り」
 デュトロノミーは手招きして、シラバブを教会の中へと呼ぶ。
 「すぐにかえってくる?」
 「誰が?」
 「みんな」
 「あぁ」
 すぐに帰ってくるよ。といい、デュトロノミーはシラバブの頭を優しく撫でてやる。
 「さぁ、だから早く中に入りなさい」
 頷き、シラバブは躊躇いがちに室内へと駆けてくる。
 「どうやら、一雨くるようだ」
 シラバブが家の中に入るのを確認すると、デュトロノミーは重い朱に染まった空を一瞥し、扉を閉めた。


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一応ココで半分です。多分。