翅硝子の森
暗闇の中できらきらと光る。
手を伸ばせば破片は雲母のように霧散し、飛び散った。
見えないはずの指先からは血が流れ、そこから新たな結晶がうまれ、また散っていく。
これは痛み。誰かの痛み。
優しくて残酷で哀れで、そしてとても綺麗な痛み。
それが見渡す限りの闇の中に広がっている。
一歩踏み出せばそれに触れ、また傷を作り、新たな結晶がうまれ、そしてそれもまた壊れていく。
きらきらと。きらきらと。
その光景はとても美しかった。
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